続 アラバスタに雨が降る 1

「結局・・・走っちゃいましたねー」3時から、最後の15分を走り終わってパドックに戻ってくると、KTM85SXを押していたuchinoさんから声がかかる。右手で頭をかいて微笑みかえすと、ジャージを脱いだ背中に、雨が落ちた。「見てよ、こんなになっちゃったじゃん」ホイールとタイヤの境が見分けられないほど、べったりと泥に汚れたRM85Lを指さして、もう一度大きく笑う。立ち止まったまま「でも、楽しかったんじゃないの?楽しそうに走ってたけど?」と、声を上げるuchinoさん。それには何も答えず、ただ笑い返す。きっと二人とも、いい顔して笑っているはずだ。隣からも「走って良かったでしょ?」と声がする。tohdohさんだ。昼飯を食べたら返るつもりだったワタシに「待った!」をかけた張本人も、せっかくの日曜日を満喫できたようで・・・こちらも笑顔。降りしきる雨の中、走るのを止めなかったnakaneさんも、いつになくはしゃいでいたし・・・渇ききったMX408は、豪雨の後でさえ、「ベスコン!」だった。

<つづく>