真夏の祭典Ⅱ 5

<8/29の続き>

「ダメだなー。前のペースで走ってちゃ」チェッカーの後、iguchi師匠に怒られたのも無理はない。同じラインをたどっていては、前へは絶対出られない。当たり前のことだ。練習の時は、腰を思いっきり後ろに引けていたフープスも、力んでいるのか体が半分ぐらいしか動かない。だから、コブの間隔が“深い”、左端に躊躇して、大人しく真ん中のラインをYZと似たように跳ねていく。

頂点で詰め寄ったスネークヒル。その下り、かまわず右手をひねって加速。そして、最初のコブの手前で、右足がブレーキペダルに押し下げる。くたびれたリヤタイヤは右にすべり、傾げたRMを立て直している間に、YZはすっと離れる。しびれを切らしてアウトにラインを外せば、それだけで、また少し距離が開く。そんなことを繰り返す・・・そして、タレるでもバレるでもない背中の先。satakeさんが、”L-1”のボードを表にしていた。

「えっ!?もう。まだイケるのに」・・・勝負どころを想い描けないまま、nagashimaパパの後ろに続いて、最終コーナーを左に立ち上がる。声を荒げるguchi師匠の前、全開でホームストレートを駆け抜けながら、オープニングレースで元IAが魅せた”ラストラップ”を思い出す。あと一周。仕掛けるとしたら・・・フープスからバックストレート、あるいはダブルジャンプか・・・。まだ見ぬチェッカーを先に受けるためには、とにかく、ここから前に出なくてはいけない。

<つづく>