Re: boot!? 6

うだるような午前中が終わった・・・30分を走りきれなかったことが、夏男としてはちょっとした衝撃だったけど、nagashimaパパとokano師匠、それにニセmanabuと走れた半日は、フルサイズやkidsとの混走でも、十分入り込めて面白かった。それに今日は、ryoも一緒だ。見られているだけなのに、走りにハリが出る。季節外れのナノハナ、やっぱりココは二人でいる方が良いようだ。テントの下で、シマダヤの「流水麺」を二人で啜る。いつもの安い麺と違って、“名の通ったメーカー”さすがの喉越しだ。陽射しの無い空間に、東南の方角から風が渡る。真夏の頃の熱気は無くて、素肌を心地良く触っていく・・・暑い盛りの時間も少しずつズレてきて、季節はゆるりと移り始めている。めずらしくモトクロスブーツを脱ぎ、満たされた腹を突き出すようにイスにふんぞり返って、静かに瞳を閉じる・・・しばらくして目を覚ますと、「あと10分だよ」と、散水が終わったコースに向けていた視線を戻して、ryoが支度を急かす。

散水直後でも、okano師匠が「走りやすい」と言うくらいに、路面はまとまっている。涼風に気を良くして、最初から全開だ。手前の右コーナーを、誰も走らない一番外側から立ち上がって、ロングテーブルトップへ・・・「あと車体一台分かな?」ryoが、そう表現する放物線は、それほど頑張った結果では無い。だから“頑張れば”跳びきることもできるんだろう・・・でも、かなり高く上がるジャンプは、着地の衝撃をカラダが良く覚えて・・・思い切るのがなかなか難しい。この歳になると、なおさらだ。そんな不甲斐ない父親の姿が、ジャンプを得意にしているryoの瞳にはどう映っているのか・・・。「そのラインで、そのスピードじゃあ・・・ダメかもね」と言うのは、ロングテーブルトップからの逆バンク。右に駆け上がるようにしてスパインに入る、角度のきついコーナー。曰く、とにかく「マシンが寝てない!」らしい。午前中、最終コーナーで言われた台詞が繰り返される。

<つづく>