ひと月ぶりの・・・ 3

Daiwa Houseの工場を左に回り、その先で今度は右に折れて、細い下り坂に入る。まだ緑の残る雑木林は、明るくて、外の冷たさを感じさせない。心臓の音だけが、やけに大きく拍を打ち始め、ハンドルを握る手のひらが汗ばんでくる。坂を下りきって右手を見やると・・・その鼓動が、現実になる。スターティンググリッドの後ろにまで並んだトランポ・・・こんなところまで“はみ出して”くるなんて・・・そして、コースのうねりをなぞるように、ずらりと揃ったパパとママたち。まだ水気の残る荒れた路面に散らばるのは、65マシンのようだ。Bongoの窓を下げると、スピーカーから流れる安室奈美恵の声を遮るように、カン高い2ストの排気音が響いてきた。

「まいったなぁ・・・」。部品も手に入れたし、のんびり走れる雰囲気でもないし・・・無人の受付から、にぎわうパドックにを向けると・・・正面にBongoの兄弟車“vanette”が停まっている。machi-sanだ。CRF150RⅡを荷室の中に、運転席で、じっとスネークヒルを見つめている。やっぱりこの空気と、まだ乾かない路面に迷っているようだ。こちらに気がつくと、「アレ、○○じゃないんだ」って、ズバリ聞いてくる。まぁ、色がばれたら、モトクロスをやっている連中にはわかってしまうか・・・。「今日は同じだよ、マディ専用車!」と、後ろに親指を向ける。反対側にtohdohさんが、machi-sanの横には、ニセmanabuのハイエース。荷室には、今日もなぜかKX85Ⅱが積まれていた。

<つづく>