ひと月ぶりの・・・ 4

何台かのトランポが水たまりを避け、乾いたスターティンググリッドの後ろに逃げていっただけ・・・よく見れば、第一パドックはすき間だらけだ。奥の方、ぬかるみの上には、ゆったりした空間が広がっている。ひさしぶりにdora-zeroとdora-ichiの凸凹コンビの姿も見えて・・・これで帰る理由が無くなった。覚悟を決めたmachi-sanと一緒に、荷室からマシンを引きずり下ろす。その赤いマシンを見つけて、これもひさしぶりのバーニーさんから声がかかった・・・「これにしたの?」。「マディだしね・・・練習車!」と片目をつぶってみせる。「RMは?」の問いかけには、ただ笑みを返すだけ。

急いでTHORのamazonに着替え始める。風が素肌に冷たく触っていって・・・メッシュ地のウェアも、今日で着納めだ。それから、空っぽだったCRF150RⅡのガソリンタンクに、たっぷりとハイオクを流し込む。チョークノブを引き出し、数回スロットルグリップを煽ってから、キックペダルを踏み下ろすと・・・何度目かのキックの後、けたたましい破裂音を吐き出して、4スト150のエンジンが目を覚ました。辺りには、細かなホコリを燃やしたような、湿気た排気の匂いが漂い、風に溶けていった。

<つづく>