ライムグリーン、発進。 3

ニセmanabuが、コースとは反対側の列にハイエースを並べた。その左隣、少しすき間を空けてBongoを停める。跳ね上げたバックドアから荷室にもぐり込んで、リヤフェンダーとハンドルバーにかかった2本のタイダウンベルトを、1本ずつゆっくりと外してやる・・・十分にコシのあるサスペンションが、少しだけ反発して、緑色の車体がチョンと右に起き上った。ラダーのアルミ肌に、ヒゲの付いたタイヤがキュキュッと音を立てる。地面に降りて、そのまま後ろに引いていくと・・・ヤレてもヘタってもいない、まっさらなホイールベアリングが、軽い動きで応えてくれる。サイドスタンドをかませる丸いパイプ穴も、まだこすれていないから・・・抜き差しにまったく抵抗が無い。bongoの後ろ、緑色がサイドスタンドに車重を預ける。パッと見渡せば、辺りは緑一色!横にも目の前にもKX85Ⅱ、斜め前には同じkawasakiのKLX110が3台散らばっている。“役満”で始まりとは、何とも縁起がいい。陽射しは無くても・・・新品のプラスチックが、華やかな光を放っていた。

<つづく>