ひと月ぶりの・・・ 6

<10/13の続き>

土が乾ききることもなく、昼を過ぎてもコースは緩いままだ。でも、その上で、リヤタイヤがうまい具合に空回りしてくれるから・・・大きく右手を絞り、遠慮なく全開にできる。4ストの反応にもだいぶ馴染んで、交わされるマシンも少なくなってきた。あとは、どうしても“前”が下がってしまうジャンプを何とかできれば、それなりに一周できるのに・・・こちらはどうにも、うまくいかない

いつもは黄旗を持って、コース脇で見ているmachi-sanが言うには・・・CRFだと斜面を跳び出す瞬間から「もう、おじぎしている」らしい。スロットルを戻すのが早いのはわかってはいるけど、2ストばかり走らせている右手は、そう簡単には直らない。反対に直線は、もっと早くギヤを上げなきゃいけないのに・・・低いギヤで引っ張ってはエンジンを無駄にレブらせて抜けていく。音だけが勇ましくて、何だか恥ずかしい。

バックストレートの端を“静か”に折り返し、大小2つのジャンプを越えて、ロングテーブルトップに続く右コーナーを、インでもアウトでもない中途半端なラインで曲がり始める。そんな物憂げなCRFのインに、青いマシンが突っ込んできた。サイドゼッケンは#33、トニーだ。甘いフレグランスが、ヘルメット越しの鼻をくすぐる。

互いのフロントタイヤが触れ合うようにして立ち上がるともう、車体の分だけ、前に出ている。先にトニー、そのまま続いてロングテーブルトップを跳び上がる。目の前で、YZ450Fのリヤタイヤが左に流れ、一瞬だけヘルメットが後ろを振り返る・・・間近でトニーのウィップを、しかも空中で見られるなんて、めったにない。こんなことがあるから、フルサイズとの混走はうれしい・・・だけどsuperなkidsだけは・・・やっぱり、ちょっと苦手だ。

<つづく>