平日、コソ練 3

<10/28の続き>

うっすらと錆びたような路面は、確かに具合が良い。だけど、“超”をつけるには、ホームストレートからフープスにつながる日向は、乾き過ぎている気もする。第1コーナーのラインは、赤い土がはだけて、雨さえ拒むように固く黄土色した地肌が露わになっている。3速全開。車体が地面と垂直になるもっと前から、KX85Ⅱのエンジンが吹け切った。4速にシフトアップしてすぐ、今度は左ターン。スタンディングのまま外側のバンクに近づき、3速にシフトダウン。褐色を失くした光舞うコーナーの縁に両輪を当てて、シートに腰を落とす。そこから右手を目一杯、手前にひねる。続くテーブルトップの斜面が途切れる前にエンジンは回りきって、KXが加速を止めた・・・RMなら跳び切れる感覚で入ったはずなのに、テーブルの端にマシンが落ちる。「もうひとつ上げなきゃいけないのか・・・」直線と呼べるだけの長さも無い、一瞬の“立ち上がり”に思いを残し、坂を下ってフープスへ・・・ひとつ目のコブの直前で、左の足先がシフトペダルをチョンと跳ね上げた。真ん中辺りまで来てから、思い出したように尻をリヤシートの後ろまで引いてやる。「ルンバルンバ!」口に出しながら、穏やかに連続しているコブに、二つのタイヤをぶつけていく・・・。

<つづく>