平日、コソ練 4

<10/30の続き>

動きの鈍い上半身が、若いKX85Ⅱのサスペンションに助けられながら、高速の左コーナーへと斜めに跳び出す。ここは、ラインの上に、まだ湿り気が残っている。真新しいフロントタイヤを頼り、左に覗く路面めがけてハンドルバーを倒し込む。傾いたマシンの上、リヤタイヤに体重をあずけてスロットルを開けると、短いサイレンサーから音が上がり、浅いバンクにはね返る。ひとつ目のコブを離れる前に、その高音は伸びを失い、エンジンが加速を鈍らせる。すぐに左足の指先をシフトペダルの下にもぐり込ませて、バックストレートを駆け上がる。RMなら、半クラッチでコーナーを出ていってから、そのままのギヤで次の左ターンまで伸びていけるのに・・・上のギヤでは反応が鈍いし、正しいギヤを選んでも、すぐに守備範囲を越えてシフトアップを要求してくる・・・この“緑”は、とにかくギヤの扱いが面倒だ。だけど、速く走らせるには、この感覚をカラダに覚えさせないといけない。ちぐはぐさを埋めるのは、これから。ストレートの終わりに、迫る左のヘアピン・・・SUGOで発見した“新技”を試すには絶好のターンが、タイヤの下にひろがり始めた。

<つづく>