平日、コソ練 7(完)

<11/6の続き>

65マシンをほとんど全開にしっぱなしの子どもを捕まえては、強引にコーナーのインをつぶして抜いていく。無気になるのは大人気ないと言っても、向こうも大人しくしているわけじゃないから、おあいこだ。明るい光と影が散らばる土の上、とにかく右手を気にしなくていいのは、気持ちがいい。KXも本来の力を解放してやると、乾いた土の上では時々、コーナーの外に向かってリヤタイヤを振るようになる。それでもRMのように、一気に横すべりを始めないのは・・・やっぱり脚とタイヤが新しいからか、それともKXの良さなのか・・・。気分良く車体を振り回して、少しカラダが熱くなってきた辺りで、左手を挙げてコースから出ていく。さすがに一本目から、子どもたちと同じだけは走り続けられない。ゆるめた右手でゆっくりとKXを運んでいくと・・・bongoと同じ形のトランポが一台、奥の離れたところに停まっているのが見えた。クルマの向こう側には、赤いCRF・・・大きさは150サイズだ。もしかしたらと近づいてみれば、三人目の大人、やっぱりmachi-sanだった。

「えっ、どうしたの?」って・・・「ん?コソ練だよ・・・文字どおり」と、大真面目に答える。まさか一緒になるなんて・・・二人とも初めての平日で、会話もちょっとうわずっている。真新しいanswerのウェアに着替え終わったmachi-sanに、先週SUGOで見てきたばかりの“新技”を興奮気味に伝えると・・・「ええっー、それって・・・モトクロスの常識だよ」と一言。しかも「東福寺の頃から」だと言うから、どうやら昔から“決まっていること”らしい。てっきり新しい発見だと思っていたら・・・やっぱりワタシとryoだけが間違っていたようだ。それでも気の置けない“三人目”が揃って、平日の朝、ひそかな愉しみが、まぶしく光り始めた。