初レース! 1

東京の日の出は6時13分。その1時間も前に、携帯のアラームが鳴る。窓の外はまだしんとしていて、東の空だけが、そこから夜が明けてくるのを知らせるように、暗い藍色を白くぼやかし始めていた。カリタのコーヒーメーカーでレギュラーコーヒーを落とし、冷蔵庫で冷やしていたポカリスエットを保冷用のジャグに移し替えてから、明るくなった空の下へ、シロとネロを連れて出ていく。筑波の山容が薄墨のような明るさの中に浮かび、その右手が茜色に染まる。七色の光の中から、赤だけを地上に向かって放つ太陽は、まだ地上に姿を見せない。そこから西に向かって広がるうろこ雲は、水を含んで重たげな灰色をしている。田んぼの脇で歩を進めるたびに、太陽が地上に近づき、赤は薄れて黄色い光が空にひろがり始めた。予報は、夕方から雨。でも、雲の切れた空を見ると、午前中最後のレースには何とか間に合いそうだ。今日は、新しい相棒との初レース。そして、ちょっぴり短い5周のレースには、iguchi、okanoの両師匠だけじゃなくて、ryoも一緒だ。ひさしぶりに“TEAMナノハナ”が、ホームコースに戻ってくる。それと、muraの#357も、だ。

<つづく>