初レース! 7

ryoとiguchi&okanoの両師匠。そしてざりまま・・・きっと居るはずの4人とはバラバラのまま、短い時間がどんどん過ぎていく。テーブルトップジャンプの先、本当は灰色に沈んだ空が、ローズカラーのレンズをくぐって、瞳に明るく映る。コースのあちこちに散らばって、黄色の旗を握っているのは、見知れたMX408のスタッフばかり。追いかけてくる音も聞こえなくて、気分は上々だ。

バックストレートの真ん中で、サングラスの奥から視線を飛ばしてくるのはsatakeさん。左の拳が空を切って、「行け、行け!」と声が耳に届きそうだ。“追い風”に気を良くすると “練習”なのもすっかり忘れて、本番さながらに右手を絞り込む。ここには似合いの大小のジャンプが連なるセクションを越え、外側に下がった苦手の右コーナーを抜けて、スパインからダブルジャンプを跳び上がる・・・。

跳び越えた先の右コーナー。その外に見えるのは、白いマスクで口元を覆ったmachi-san。スネークへと続くあっという間の直線は、冬の間、ゆるい路面に深いワダチが刻まれる。machi-sanの前までKXを寄せてからワダチを左側に避けて、レースでは使えない外の山肌で反転、テーブルトップを跳びきる。スネークヒルの下りもアウトを走って、続く二連ジャンプの斜面へ、まっすぐに加速していく。

ホームストレートに抜ける左コーナーは、右足を浮かせてしっかりとリヤブレーキを踏み込み、右手をひねるのと同時にステップへと足を降ろす。すべてが“本気”、どこも緩めることなく、真剣に周回を重ねていくと・・・前を走るマシンが数台、視界の先に見えてきた。「一周しか走っていないのに・・・すぐに腕が上がった」ryoが、スターティンググリッドの前に、CRF150RⅡを停めている。それでも、最後まで“一番手”のままでチェッカーを受けて・・・練習走行は、明るく爽快な気分で終わった。

<つづく>