ちょっぴり遅めの朝は・・・

起き抜けの、まだ暗い路地にryoを送り出してから、落としたばかりの珈琲をカップに並々と注ぐ。少し濃いめに、たっぷり五杯分。今日はいつもより遅い出発、それもbongoで移動だから・・・寒気に張りつめた朝も、幾分ゆるんだ感じがする。次第に蒼さがとれて、路地の左右に建物の姿が浮かび上がる。どれも雨戸が引かれたまま、小さな窓から明かりが漏れるだけで、静けさに包まれている。時折、早出のクルマが音を立てても、すぐにひんやりとした空気に戻っていく・・・。

なかなか外に出してもらえないからか、それともただお腹が空いただけなのか、玄関でシロとネロが着替えを始めないワタシに向かって、クンクン鼻を鳴らしてくる。日の出から30分、いつもなら家に帰ってくる時間になってようやく、リードをはめて玄関の扉を開けてやる。ほんの少し開いた隙間から先に飛び出したネロ。そのネロを踏みつけるようにして、シロが大きなカラダで跳び上がる。昨日の雨の上を強めの風が北から吹き抜け、湿った朝の空気が、さらりと手の甲を撫でていく・・・。

路地の曲がり角、まっすぐに伸びた銀杏が、深みのある黄色でアスファルトを染めている。枝の先、てっぺんに見える空は、雲一つない青に覆われていた。