Merry Christmas! 7

泥が押し上げられて、外側にタイヤ止めができたようなワダチを抜けて、ひとつテーブルトップを跳び、さっき見ていたすり鉢のワダチに2つのタイヤを合わせて、湿った坂を上っていく。頂点で左に折り返し、ラインを一番外に取りながら、縁にできた半円状のワダチの手前をなぞるように下りていく。「跳び切るには・・・もう少し乾いてほしいかな」となぞる二つのコブを抜けると、その先の最終コーナーには、まったく予想を越えたひどい路面が待っていた・・・。

もみ殻と追加された砂がまぜこぜになった上に、たっぷりと雨が降り注ぎ、水を張った田んぼのように粘る土。うまく勢いに乗りきれないマシンたちが印していくワダチは、不規則に蛇行する。ワダチをうまく走るには「見ちゃダメ」なのは、わかる。tohdohさんに言われると、何か諭されているようで、できる気になってくるけど・・・ワダチを前にすると、視線は真下へ急降下だ。

一番手前、ほとんど一点を見つめて・・・視線は先を向くどころか、まったく動きもしない。これでは、うまく抜けられるはずもない。戻した右手が、さらにマシンをふらつかせて、ステップから両足が離れる。レールにはまっただけで力を失ったKXを、バタつかせた足で前に進める。ゆるやかな傾斜を越えても、タイヤは軟な路面に喰われっぱなし。フィニッシュラインを過ぎてようやく戻った駆動力が、左バンクから降りたホームストレートで、また失われていく・・・。

<つづく>