年の初めに・・・終わり良ければすべて良し! 2

玄関を出て、つま先から冷え切ったカラダは、さらに動きを渋くして・・・すぐ隣に停めてあるBongoが、ひどく遠い。それでも念入りに暖気を続けていたドアを開くと、勢いよく暖かな空気があふれだした。半袖のTシャツにパーカーを乗せただけの格好で、運転席に乗り込む。駐車場は暗い日陰の中、周りを見ても、淡い黄色に染まっているのは二階や屋根の上だけ。便の良くない田舎にしてはせせこましい団地の中を通り抜けてから、すっと江戸川の土手沿いを走る県道に出る。アスファルトの上は、瞼を大きく開いてはいられないほどの、光に満ちていた。

窓でも開けたくなるくらいにするのは、冬の約束事みたいなもの。度を超した寒がりの割に、厚手のアウターが嫌いなワタシは、決まってクルマの中をアツくする。それも、とびっきりギンギンに。せっかく付いている“暖房”を、控え目に使う理由は見当たらない。今朝も、すっかり視界を奪うほどに、サイドガラスが結露していて・・・車内は、ほとんど真夏だ。両方の袖を肘までまくり上げた腕がハンドルを操作して、最後の細い小道を蛇行していく・・・半月ぶりに見るスネークヒルが、逆光にたたずんでいた。

ここも辺りは“ザラメ”だらけ。いつまでも消えない水たまりは、タイヤが踏みつけても割れないほど、しっかりと凍っている。「間違いなく・・・昨日より寒い」、そう思いながらハンドルを右に一回、左に一回回して、受付の横・・・ハイエースの後ろに並ぶ。あと少しで9時、先客ものんびり出てきたようだ。運転席の窓を開けると、saitoさんが笑う。「おめでとうございます」と話す鼻の頭は赤くなっている。「今年もよろしくお願いします」の声と一緒に、真夏の風が外へとこぼれ出した。

<つづく>