春遠からじ 2

<1/13の続き>

9時を過ぎてからも、だらだらとトランポが集まってくる。来週にキッズのレースを控えて、小さなバイクばかりが揃うかと思っていたら、意外にもフルサイズの、しかも色付きゼッケンをまとったマシンがあちらこちらに散らばりはじめた。大人のミニモト組は、ざりままとnagashimaパパと・・・#41を着けたMCのお姐さんだけ。約束していたiguchi師匠からは、「スロットルワイヤーの戻りが悪くて・・・」と、ちょっと淋しいメールが入っていたし、okano師匠の軽トラックも、ずっと見ていない・・・。ミニコースの向こう、ゆるゆると上ってきた太陽から注ぐ陽射しの下で、先に支度を始めたのはryoだった。暮れのイバMOTO以来だから、もうひと月以上経つ計算だ。“謹慎処分”になってからも早一年。最初に憧れたマシンの色は、そう変わるものじゃない。今はワタシの愛機KX85Ⅱも、すでに転倒、サイドパネルを破損しているから・・・今日は、その一年前と同じ色のマシンで気兼ねなく走れる・・・それがryoの大きな楽しみになっていた。着替えがすんで、仮の愛機CRF150RⅡの始動に手こずっていたくせに・・・ヘルメットを被ってからまたがった緑のマシンには、あっさりと火を入れる。そのまま、くるりと反転してコースへ走る背中は・・・記憶の中にある姿のままだった。

<つづく>