年の初めに・・・終わり良ければすべて良し! 5

「早く抜いてくれなきゃ・・・前に出たら着いていこうと思ってたのに。出てくるのが遅いもんだから・・・追いかけてすぐ、くたびれちゃったよ」。つぶれた左目が、まるでウインクでもしているかのよう。そう言われても・・・出なかったわけじゃなくて、出られなかっただけ。あまり叱られなくなったのはうれしいけど、いぶし銀の走りはちっとも“くたびれて”いない。後ろについても“すき間”がまったく見えてこないし、無理矢理乗っている感じがしないから・・・先にこっちがしくじってしまいそうだ。スネークヒルに入る小さなテーブルトップを跳び越えると、正面にざりままとkimuraくんの姿が、何度も瞳に映り込む。守谷RTの“成長株”のkimuraくん。ざり家は今年一年、彼の全レースに付いて回るらしい。そんなことをアタマの端に置きっぱなしに坂を上って、下りて・・・今度は、コースを見下ろすように並ぶ影が視界の右隅に入る。目の前を下るたび、声をかけてくれる二人に応えるどころか、顔を向けることもままならない。そんな周回がしばらく続いて、ようやく交わせたのは、そのスネークのひとつ目、左カーブで一瞬マシンを揺らして、そこまでの調子を途切らせてしまった“すき間”を衝いただけ。いわゆる“敵失”・・・それでも、左横を避けて、右側から大きく前に抜け出していったのは、少し胸が張れる。「あと一回走ったら上がるから」、いつもの午前中だけの練習は、今年も変わらないようだ。ryoが居ないことを気にかけてくれるのも同じ、厳しくも温かい・・・ナノハナの“大親分”だ!

<つづく>