年の初めに・・・終わり良ければすべて良し! 6

「第1と第3コーナーの倒し込みが甘いよ!もっと倒せるから」

「スパインの手前も、もっと寝かせて、もっと早くスロットルを開けて・・・」

“カチパン”と凍った路面で、恐々とまたがっているのがわかってしまったか・・・昼を一緒にしていたmachi-sanが、めずらしく厳しい物言いをする。「わかったよ、やってやるよ」と一瞬、心の中でささやいて、そこから「逆回りだった頃のバックストレートエンドは、凍った上でブレーキングが怖かったよね」と常連交えて話が弾み、そのまま5月に予定されているコース改修の話題へ・・・気分で乗るワタシは「“魅せジャンプ”と“デカバンク”がほしい!」と、真顔で訴えてみる。その後ろから「“デカバンク”はないな」とsaitoさんがバッサリ。今なら、少しは格好つけて回れそうなのに・・・今と同じ向きのバックストレートエンドからスネークへ・・・反り立つバンクがなつかしい。

受付の長椅子に腰かけ1時を過ぎてもダラダラしていたら・・・ざりままに先を越されてしまった。すぐ目の前から消えたCRFに急いでBongoへ戻ると、アタマからブレストガードをかぶってヘルメットを着けて、KXのキックペダルに足をかける。1時間で冷えきってしまったエンジンは、チョークノブを引っ張って、ようやく回り始める。しばらく右手をいい加減に動かした後で、チョークノブを押し込み、シフトペダルをかかとで踏み込む。nagashimaパパの居なくなった午後、「寝かせる、寝かせる、倒す、倒す・・・」とつぶやきながら、コースに向かって左指をゆっくりと放していく。

ホームストレートの右端で周回するマシンの切れ目をうかがっていると・・赤いフロントフェンダーに3桁ナンバーのCRF150RⅡが坂を下りてきた。ざりままだ。最終コーナーから立ち上がって、左カーブを小さく折れてきたマシンの加速に負けないように、右手と左手、同時に、別々の仕事をさせる。すっとシートを下げてから地面を蹴って、弾かれたように第1コーナーを目指すKX。CRFのすぐ後ろで右に曲がって、machi-sanが見下ろす、問題の第3コーナーへと突っ込んでいく。アウトの縁は埃舞うほどに乾いて、そこからイン側に向かってうっすらとワダチらしき曲線がまたいでいる。前を走るざりままの背中が、左に傾げたマシンのシートに立つ・・・相変わらずきれいな後ろ姿だ。そのCRFのバンク角から・・・“5割増し”の気持ちで、KXを倒し始める。両輪のおぼつかない接地感に、思わずカラダが硬くなる・・・。

<つづく>