年の初めに・・・終わり良ければすべて良し! 7

それからは、前に出たり後ろに下がったり・・・CRFと仲良くつるむ。コーナーのたび、かたくなにインベタで抜けていく姿は、okano師匠と走っているようだ。アウトばかりを回って、いい気になっているワタシとは、やはり違う・・・レース慣れしている守谷RTの一員は伊達じゃない。そして、浅いバンク角から立ち上がると、“身内”らしく遠慮もなしに、KXのラインすれすれにはらんでくる・・・いいね!ちょっと楽しくなってきた。相手にとって不足はない。「もっと倒せる、もっと寝かせられる」・・・machi-sanの声を思い出しながら、何とかアウトだけを回って、ざりままとの距離を詰めていく。波打つフープスへ自信なさ気に入っていった赤いテールを右側から交わしていって、上っ面だけが融けた左コーナーを回った後だった・・・。

バックストレートの入口で、CRFをコース脇に落とした子どもが一人。その姿を横目に加速、気を取られながら不用意に右の人さし指でブレーキレバーを引いた途端だ、ハンドルバーが両手からいなくなって、前につんのめる。何が起こったのかわからないほどの短い間に、KXから離れたカラダが融け出した泥の上に放り出されて、派手に前から転倒・・・すべてが終わって、止まった時間の真正面に薄く霞みがかった空が浮かぶ。「やっちまった!」と気がつくまでに、いつもより時間がかかったのは、“初走り”の転倒だったから・・・。遅れてきたざりままに声をかけられて、ようやく立ち上がり、泥に汚れたマシンを引き起こす。倒れたマシンの反対側に、手のひらほどのプラスチック片が、白く落ちていた。サイレンサーを覆っているサイドカバーの端が、縦にスパッと割れている。初ゴケにサイドカバー破損のおまけつき・・・傷心のまま5時。チェッカーフラッグを待たずに、コースから出ていった。

<つづく>