Practice

雲が無くて白くとんだ空に、薄黄色の太陽がきらめいている。誰にも気にかけられることなく、そっぽを向かれた田んぼは、その光を浴びて真っ白に波を打っている。四日前のシロの足跡がまだ、点々と残っていた。その上を、勢いよく風がすべってきては、頬や鼻や耳たぶを赤くする。この風さえ無くなれば・・・たとえば、ガラス越しの陽だまりで、のんびり雑誌でもめくっていられれば・・・とても幸せに過ごせる休日になるはずだけど・・・今日は、居間の隅にとどまってはいられなかった。

早いもので、暮れに亡くなった義母の四十九日が今日、この冬晴れに予定されていた。シロとネロを小屋に戻してryoと二人、喪服に身を包んでからBongoへ乗り込む。陽射しの中に出てみれば、風が吹いていることさえ忘れてしまうほど、厚いフロントガラス越しに明るく眩しい世界が広がっていた。ここから千葉のユーカリが丘までは2時間弱。すでに車中は嵐と氷室京介の音にあふれかえる。義母がくれた、ささやかな“練習”の時間・・・温もりの中で、何度も繰り返す旋律を、小さく叫んでいく。