ヘタクソ! 6(完)

泥に汚れたブレーキレバーが、斜めにひん曲がって・・・端っこが空に向いている。カラダ全体に、得体の知れない重さがのしかかったように、うまく立っていられない。勢いあまって転んだのなら笑ってすませられるだろうに・・・我ながらあまりの下手さ加減に、がっかりだ。気を取り直して走り始めたつもりが、その後も、そこかしこで転ける、転ける・・・。日陰では陰影の少ないワダチに足をすくわれ、スネークヒルの底では、上り坂を前に焦ったカラダが、フロントブレーキを握り締めたまま内側に倒れる。鬼ならぬiguchi師匠が居ぬ間に、少しでも速く周れるようにするはずが、それどころじゃない。一年分まとめて転んだような気がする。それも、半分が“何となく”転がっているから・・・とことん気分が悪い。ryoもokano師匠も居ない最後の10分を、キャンセルすることなく挑み続けても、“ドン亀”のような走りが変わることはなかった。ただひとつ、スネークヒルをバンクに乗り上げて下れるようになったことだけが、ちょっぴりうれしかった。ヘタクソなりに・・・。