枯れ草につつまれて 2

<2/11の続き>

昼も食べずにwestwoodまで走り、急いでイバMOTOのエントリー用紙を書きはじめる。12時を過ぎたばかりの狭い店内に、師匠とワタシの他に客の姿はない。2時になってから貼り出す、今日の“当たり目”は、まだ吊るされていなくて・・・ただの半券を握りしめながら、必死にボールペンを走らせる。会員番号さえ書けば住所も名前もわかるだろうに・・・同じ文字を二人分、しっかり書かされるのは何ともツライ。ブツブツとそんなことに文句を言っては、くだを巻くワタシにかまうことなく、カウンターの中で大きいお姉さんが、書き上がった二枚のエントリー用紙をさばいてくれている。「恋する女はきれいさ、けっしてお世辞じゃないよ♪」。昭和な台詞もまんざら嘘ではないようで・・・彼女の目元は今日もキラキラしていた。財布から一万円札を出して、千円札を二枚返してもらうと、二人あわただしく店を出ていった。

okano師匠の軽トラックの後ろに付いて・・・目指すは、利根川の河川敷。昨日、matsunagaさんと走ったコースは、よほど面白かったのか、師匠は絶賛だ。ただひとつ、KTM85SXを取られたのだけは悔しくて我慢できないらしく・・・「なかなか見つからないでしょ?」と、matsunagaさんにドヤ顔されたことを思い出しては、「チキショー!」を連発していたokano師匠。前を走る軽トラのバックミラーに師匠が映るたび、その子どものような横顔に思わず笑みがこぼれてしまう。取手の駅を過ぎ、利根川の橋を渡って・・・初めて走るコースへと、いつもの「帰り道」をたどっていく・・・。

<つづく>