34Kも・・・悪くない

今日は翼の後ろ。

とにかく宮崎での役目は果たして、「宮崎牛」をつまみながら贅沢な夜も過ごした。ただそれだけで、大した爪痕を残すことなく、定刻の11時30分。ワタシを乗せた大きな機体が動き出す。ANA608便羽田行き、ボーイング767.来たときのJALよりも一回り大きく、快適な空旅が約束されているようだ。鋭角な角度の翼の向こうに、だだっ広い滑走路が真っ直ぐに延びているのが見える。「ここなら・・・リッタークラスのモンスターマシンでも全開にできるかもしれない」ひとりごちていると、両翼にぶら下がる2基のエンジンが、グワーッと低くうねり声を上げた。途端にシートの背もたれに背中が押しつけられて、ボーイングが加速していく。機体が大きい分、エンジンの出力も強力。すぐに車輪がアスファルトを離れ、斜めに飛び上がった。自重でシートが押しつぶされそうな、このGは・・・クセになりそうだ。

斜めの機体が水平になると、そこは地上10000mの世界。白い煙のような雲が、薄く沈んでいて、その上にすみ切った青が光っている。鈍い銀色が、その境目を斜めに突き刺している。翼の上では、“JA8324”の文字が、黒々と陽光を撥ね返していた。太平洋しか望めない34Kも・・・そう悪くなかった。相変わらず外の音が、うるさくて敵わないけど・・・。