五月晴れ

朝まで降り続けると思っていた雨は、眠りについているうちに、風にながれていってしまった。いつもより1時間遅く目覚めてから、出窓に掛かったカーテンを左右に開くと、濡れたアスファルトが光を跳ね返していた。まるでつきることを知らない朝日が、あちこちに弾けては光をまき散らしている。どこまでもまっすぐな光に、すっと左目だけ瞼が落ちる。ひさしぶりにクルマで仕事場まで・・・8時を回って、庭先からcarryで路地に出ていくと、もうアスファルトは乾いていて、ところどころに細く小さな水たまりを残すだけになっていた。

バス通りに出て、江戸川を渡り、ただ東に向かう。歩道には、遅咲きのナノハナが、好き放題に伸びている。お母さんに手を引かれた子供は、すっかり見えなくなってしまうほど、背が高く、乱雑だ。黄色の花は小振りで、緑色が上に横にと広がって・・・奔放だ。その先、赤信号で止まった交差点は、大きなケヤキの下。木陰の中に入った運転席から、通りの向こう側、光の下を眺めると、雑草の緑も、垣根の赤茶色も、湿った畑の土さえも、光を浴びてきらめいてた。木漏れ日の中、250ccのマシンで駆け抜ける皐月が恋しくなった。