今日は、ネロちゃんは?(前編)

木々を大きく揺らす風がやっと静かになって、薄く引かれた雲間に、まばゆい太陽がのぞいている。しばらく見慣れた土色の田んぼには、どこもかしこも用水が張られていて、その上を光の欠片が細かく波を打ってながれていく。陽射しを遮るもののない農道は、アスファルトの照り返しも眩しくて、サンバイザーもあまり役には立たない。その明るさを抜け、国道6号線利根川を渡り、端の北詰を左回りに降りて、信号に停まっていると・・・クラッチを踏み込んだ左脚の膝の上が鈍く痛みだした。昨日、もてぎの森の中を歩き回ったせいだろうか・・・頭も少しだけ重たく感じるから、たぶん疲れているんだろう。それでも今日は、iguchi師匠と約束した公式練習”の日。2年越しになる久々の対決に向けて、お互いの調子を“探る”、大事な一日になるはずだ。何度も目を瞬きながら、龍ヶ崎への県道をつないでいく。

<つづく>