パドックにて

<5/20の続き>

いよいよ高くなった太陽から隠れるようにして、両ひざにプロテクターをあてがい、oneのモトクロスパンツにブーツを合わせる。薄いナイロン製のモトクロスジャージを被るだけで、じわっと体温が上がってくるこの感じ・・・大好きな季節がめぐりつつある。真夏には少し足りない陽射しを、冷めた風がさらっていく。その風に乗って、コースから届く排気音は・・・太い4ストばかりが、まばらだ。

白く乾いた土に、陽射しがはね返る。コースから帰って来たtomobeさんが、「何か難しくなったみたい」と、saitoさんと同じことを言う。スネークヒルを下った先の最終コーナーは、ダンプカー数台分の山砂で灰色に染まっている。ラグナセカの名物コーナーから名付けられたはずの“コークスクリュー”は、スネークヒルの斜面から覗いても、遠く離れていてよくわからない・・・。先に到着して、愛機CRF150RⅡをパドックに並べているiguchi師匠は、まだ着替える素振りがないし・・・自分で確かめにいく他ない。ざりままと入れ替わるようにして、KX85Ⅱのキックペダルを踏み下ろす。湿度の低い空気を裂くように、2スト単気筒がけたたましく目を覚ます。