一将Day ~2/2~

<5/30の続き>

「いやがらせで、平らにされちゃうと思うんですけどね」

最後の一言が周りを笑顔にして、午後がはじまった。

その一本目。たっぷりと水がまかれたコースに、KX85Ⅱと一緒に飛び出していく。さすがに用心して走らないと・・・たちまちリヤタイヤがすべりだす。黒く濡れた路面をていねいに抜けて、スネークヒルを下れば、さっきのサンドセクションだ。上半身、とりわけハンドルを握る両腕から力を解いて、スタンディングで砂をはむ。コーナーの頂点、その少し手前でシートに尻をつけ、ゆっくりマシンを曲げていって・・・出口に向かって車体を起こしながら、右手を大きくひねり上げる。

「おっ!?」

この日、いちばん素直な形でKXがサンドセクションを脱出、土の路面に戻ったリヤタイヤがふわっとフロントタイヤを持ち上げた。

「さすが!」

ここMX408の”408”をまとう国際A級ライダーは、ほんとにイイことを教えてくれた。普通のライダーにも、大真面目に語ってくれて・・・ファンとの距離がこれほど近いプロライダーを、ほかに知らない。早く怪我を良くして、元気な姿をコースの上で見せてほしい。

「バー、倒すの、ちょっと早過ぎるんじゃない?」

文句のひとつも言いたかったけど・・・3周の“模擬レース”も、最後の余興には十分。カズマサのおかげで、ちょっぴり刺激的な日曜日になった。これからもやってくる“一将Day”――カレンダーに赤マルでも付けておこうかな?