smart assist 2/4

間口から想像していたよりも、はるかに広い敷地。さすがは自動車販売店だけのことはある。店舗の入口に一番近い“お客さま専用”の札が立てられた場所に、verisaを後ろ向きに止めていると、店の中から男の人が出て、小走りに近寄ってきた。いかにもクルマ屋さんらしい“おもてなし”。マツダ車に怪訝そうな表情を見せるでもなく、よく日に焼けた40くらいの男性は、胸に“課長”と書かれたプレートをはさんでいる。髪にクルクルっとパーマがかかっていて、それがやけに活動的な印象を与えている。今のワンボックス車を手放して、小回りの利く軽自動車に買い替えを考えている――手短に来店の理由を伝えると、さらに明るい笑顔で両手を広げて、試乗車が並んだ場所に目配せする。お目当ての「move」がやわらかな光の中で、きらりゆらめいていた。

わずか3年半でも、“恩義”のあるスズキを推したいところだけど、舎弟は親父の腕前が今ひとつ信用できないらしい。きちんと免許証を更新できたはずなのに、息子に疑われては敵わない・・・けれど、この年になれば父親の威厳なんて、もう終わっている。ご老体には、“ぶつからない”クルマを転がしてほしい――だからスズキじゃなくて、ダイハツがイイらしい。そのぶつからないクルマが・・・テレビでもよく見かける「move」だ。

<つづく>