Duke

午前6時30分。太陽はもう、東の空高くにあって、薄く張られた雲の中で眩しく広がっている。ビルとアスファルトに、ヒトとクルマが集中する都心では考えられないほど、水田を渡る風は涼やかだ。ツンと伸びた緑が、光と風にゆらめいている。雑木林の陰を歩けば、露出した二の腕がひんやりするのがわかるくらい――まどろんでいるような、淡い空気が立ちこめる短い朝――真夏のジリジリした一日も、田舎町ではだいたいこんな始まりだ。江戸川に沿って走る県道から、クルマが一台、春日部のほうへと向かう音が聞こえる。この時間、行き交うクルマはまばらで・・・夏のツーリングに出るときは、きまって7時前に通りを流していたことを思い出す・・・。

この夏、我が家に旅の相棒が戻ってくる。一年と半年ぶりになる公道車――黒と橙のツートンカラー――は、Monster以来のキャストホイールを履いている。あふれる光の中で納車される日が、待ち遠しい。