夏練! 3

かなり手の入ったCRF150RⅡに乗る女の子がひとり。あとの6台は、すべてフルサイズの250ccだ。全員がお互いの顔を見知っていて、笑いながら声を掛け合っている。そんな中で、ryoとワタシだけが、輪の外に居る。ちょっとした疎外感の周りで、風が光を浴びて舞い続ける。しばらく眼下の町を眺めていると、辺りの全員がコースに出ていって、パドックに残ったマシンはKX85Ⅱと#357をつけたCRF150RⅡの2台だけになった。パドックのすぐ脇を通る、榛名名物の長い上り坂。YZ250が挑むように駆け上がって、途中のシングルジャンプを高く跳び越えていく。奥の林にのみ込まれた2ストのカン高い排気音に、たまらずCRFに火が入った。ほとんど一ヶ月ぶりになるryoが、250と聞き間違えてしまいそうな、けたたましい音を上げて、走り始めた。パドックを左へなぞるように走る赤い車体、その向こうに、緑の芝生の縁で切り取られた空が、青く浮かんでいる。ここに来なければ見ることのできない、まったく良い眺めだ。

<つづく>