夏練! 4

<7/19の続き>

“サイティング”を終えて、二周目に入ったryoとCRFが、空へ向かって跳び出すテーブルトップジャンプに消え、上りストレートにつながる右コーナーへと駆け下りていく。そのうねるような破裂音を頼りに、左手でクラッチをすべらせ、KXのシートにカラダを預ける。ニードルを一段太くされて、薄い混合気を吸い込むピストンリードバルブの85エンジンは、こんな標高の高いところに持ってきても、少しもぐずることなく、しゃにむに鋭く吹け上がる。ただひとつ・・・ガソリンが足りていないのか、肝心の“力”が出てこない。平坦な部分がほとんどない山間の榛名。スロットルを開けられるのは、決まって上り勾配で・・・ギヤを上げなければ吹けきるし、上げれば失速する。どうしようもなく線の細い加速で路面を手繰り寄せ、悲鳴のような排気音を森にぶつけながら、CRFを追いかける。コーナーを立ち上がるたび、じんわり離れていく赤いテールとthorのウェア。涼しげに逃げる、その後ろ姿が・・・まったく癪に障る。

<つづく>