2013 Summer 2/9

中央からやや右に寄ったグリッドを選び、斜めに起き上ったスターティングバーに、KXのハンドルバーを正対させる。4ストミニと混走になったサンデー85/150クラス。その終盤、L-2の走りを眺めながら、ステップの前に足を下ろして、親指の付け根でカラダを真っ直ぐに支えてみる。マシンと両足がピタリを落ちついたら、次は視線の“先”をおさらいだ。スターター係のiguchi師匠も、骨折で見ているだけのざりままも、「えっー、当たり前でしょ!」と口を揃える“送り先”は、ハンドルバーに平行している鉄製のパイプではなくて、そのバーを支える小さくて丸いT字の形をした金具。ここがバネのようにスパッと倒れると、抑えが外れてスターティングバーが倒れてくる仕掛け。だから、ココを見ているのが一番早く反応できると言うわけだ。カズマサに教わるまでもなく、みなさんよくご存じのことらしいけど・・・ワタシは試すのは今日が初めて。1組目のフルサイズオープンクラス、つづく2組目の110クラスと、グリッドの左端で、動きは確認済み。あとはその動きに左手がすぐに反応できるかだ。

前クラスにチェッカーが振られると、それを合図に、グリッドの中が一気に熱を帯びてくる。左隣、1台分のグリッドを空けて、ryoのCRF150RⅡも、烈しい破裂音を響かせている。iguchi師匠が15秒前のボードを掲げると、さらに派手な空吹かしが始まる。ボードがひっくり返って5秒前。スロットルグリップを握る右手を半分からさらにひねって固定、腰から折った上半身、そして左眼はスターティングバーの根元を見つめる。5秒から1、2秒過ぎて、何の前触れもなく、一気に金具が外れた、その動きを見逃すことなく左手を動かして、遅れて倒れてきたスターティングバーを乗り越えていく。CRF150Rのフロントタイヤが視界の片隅、左の真横に見えた気がした。「よし!」、そのまま2速3速と左足をかき上げ、横から迫ってくるマシンに弱気を見せないように、ただ真っ直ぐ前だけを向いて加速を続ける。“直線全開”だけは、榛名でも河川敷でもたっぷり練習してきた。1、2、3、4・・・5番手で、第一コーナーを抜けていく。MCの色付き組9台のド真ん中、ryoのCRFも見えないし、これなら上出来だ。