2013 Summer 1/9

明日の準備の仕上げに、朝と昼に食べるものを買いに出る。ついでに、ガレージからdukeを引っ張り出して・・・。“誕生日”から2週間が過ぎて、ようやく今日で二度目。陽射しの下で眺めるガソリンタンク(実はプラスチックのカバーだけど)が、橙色に明るく映える。キーをONに回して、セルボタンに触れる。居間の窓ガラスにはね返って、吐き出される排気音は、意外に元気で歯切れがいい。

スモークシールド越しに、緑の桜並木がまっすぐ続いている。アスファルトには光と影、こうして木漏れ日の中を走るのは、2年前に飛騨の山を越えていったとき以来だ。行き交うクルマもない、工業団地を結ぶ2車線。車線を分かつ白い点線が権現堂堤の上で、ゆるく右に曲がる。ギヤを2つ落として、ステップに乗せた右足に体重を乗せながら、腰、背中、肩の順にカラダを内側にねじり、白線をかすめて、ガードレールに向かい短く加速する。アタマの中は、鈴鹿のまま。これじゃあ明日の第1コーナーでひっくり返ってしまいそうだ。

迫力はないのに、妙に耳に残る4スト単気筒の排気音。こもったまま伸びていく音色に気を良くして、どんどん距離も伸びていく――。

道が国道4号線にぶつかりそうになって、思わずブレーキ・・・そこから小さくUターン。曲がり角を行き過ぎて、またUターン。来た道を戻る。EXC-Rにも、もちろんMONSTERにも、この手軽さはなかった。あとは、早く7500回転の“シバリ”が解けて、“自由”に加速できる日が来るのを待つばかり・・・その日まで890kmを残して、陽が大きく西に傾いた空を背に最後の曲がり角、dukeが左に折れる。