2013 Summer 5/9

午前8時。海から吹く風が、急峻な山肌にぶつかって、濃く灰色の霧をただよわせている。ただ、予報は朝から晴れ、濃霧はすぐに消えてなくなるようだ。どうやら夏日になるらしい。真昼の暑さを裏返したような、少しひんやりとした霧は、海の上からこつ然と現れては、山すそを駆け上がり、途中で雲に飲み込まれるようにして正体が分からなくなる。いつまで見ていても、ずっと繰り返してばかりいる・・・。

泊まり客の中で一番遅い朝食を用意してもらい、初めての「あまちゃん」を観ながら、塩鮭と味のりで茶碗のご飯を腹におさめていく。のんびりした朝食をすませ、玄関先からにぎやかな声が聞こえなくなってから、やっと腰をあげ、部屋を後にする。佐渡らしい岩礁を眺めながら、特上の廻転寿司を喰らい、たらい舟に揺られるのを楽しみに、日本一長い県道を南に下る。気に入った岩場が見つかれば、そこでしばらく波を戯れて、また次のお気に入りへと走る。お盆休み前の平日、日本海に囲まれた島には、そんな入り江がいくつも見つかる。佐渡での二日目は、かなり贅沢な一日だ。そして、寿司もたらい舟も、ガイドブックにあるような一番人気じゃなく、地元の人が勧めてくれる穴場・・・土地の人の話は、聞いておいたほうがイイ。