2013 Summer 7/9

いよいよ佐渡を離れる朝。名残惜しむ空には、朝霧ではなく、厚い雲がひろがっている。小木港を出るフェリーは、朝と夕の2便だけ。その朝便、10時20分出航の船に間に合うように、一昨日走った道を急いた走りでたどっていく。相川の短い中心街を抜けると、行き交うクルマも信号もほとんどなくなる。約45kmを「1時間で走りきる」とナビの言うとおり、9時30分に、無事到着した。同じ佐渡の玄関口にしては、かなり簡素な風景。両津のような町並みが出迎えてくれることもなく、コンクリートが目立つ、港湾の味気ない景色がいきなり眼前に広がる小木港。真新しいアスファルトに、いつしか雲が切れて顔を出した太陽が、強烈な光を当てていた。

両津と新潟を結ぶフェリーを一回り小さくした船体は、まだ新しいのか、それとも改装されたのか、とにかく外壁も内壁も白がまぶしい。2等船室の薄い青と桃色のカーペットにもシミひとつなく、裸足の足に触る感じも腰があって心地よい。窓際に陣取り、横たえていたカラダに、出航のドラの音が届く。仕方なく起きあがって、うとうとしかけたアタマを何度も左右に振り、甲板に向かってみる。すっかり遮るものがなくなり、空に浮かぶ太陽から注ぐ陽射しは、手加減なく両腕に照りつける。これから船室に戻ってひと眠り・・・3時間もすれば、本土へ帰還だ。いつもと違う、それでも夏らしい時間を、この閉鎖された空間はたっぷりと味あわせてくれた。近づいてきたときよりも、何となく早く、その緑の島は遠ざかっていった。