2013 Summer 8/9

2年前の夏、ryoと駆け上がった国道292号線は、変わらぬ緑の稜線を自在に屈曲して走り抜ける。右に左に折り返していくたび、陽射しは光を濃くして、木陰の陰影を強く映しだす。ついつい見惚れてしまうほど黒く大きな瞳の若女将に、やさしく手を振られながら渋温泉を離れるとき、30℃近くあった気温も、遠く下界へ置き去りにされていく。ループを回り、ほたる温泉の立ちのぼる湯気と微かな硫黄の匂いを通り過ぎると、緑の丈は一気に短くなる。クマザサの波には、立ち枯れた木々が不揃いに並び、いよいよ国道最高地点が近づいてくる。横手山頂のヒュッテを越え、いくつかのスノーシェードをくぐると、標高2172mの渋峠に出る。気温18℃。風に触れる素肌が、一瞬でザラザラになった。佐渡の海とは違う涼夏が、ここにはある。反対車線を上ってくるバイカーたちが、しっかりとしたジャケットを着込んでいるのが・・・よくわかるのに、ちょっと可笑しかった。