rehearsal?

歌広場の室料半額DAY。歌トモが黙っているわけはない。行きつけのカラオケチェーンが、お盆休みの開ける来週まで、「3時間無料コースは使えない」と聞けばなおさら。三田にあるというのが、田舎者にはつらいところだけど、夕涼みがてら寄り道するには、割とイイ考えだ。ちょうど夕方から田町でひと仕事になったし、「定時で直行します」の携帯メールを眺めながら、パソコンに向かって淡々とマウスのクリックを繰り返す。14階の広く取られた窓から覗く空は、薄灰色にかすんで光っていた。

予定よりも少し遅れて、送られてきたメールの部屋番号の扉に手をかける。細く切られた透明なガラスの向こうで、歌トモがマイクも持たずソファーに深く腰を落としている。扉を引くと同時に、思い切り冷たい風が廊下に出てきて、急ぎ足で歩いてきた首筋の汗が、すうーっと引いていく感じがした。歌ってはいなかったけど、リモコンの中には、すでに1曲目のタイトルがセットされていた。サザンの新曲だ。それからも、うまく高音が出てこないワタシを置き去りにして、徳永や山Pの新曲をリクエストしていく。“隠し玉”のないワタシは、仕方なく、休み中にさんざん聴きまくっていたきゃりーぱみゅぱみゅを披露・・・歌にワタシとは別の、心の底に届くような何かを求める歌トモの反応は、予想したとおり冷ややか・・・だけど、どこか楽しそうに笑っている。

7時30分。ようやく声が出始めたところで、今宵はお開き。これじゃ、リハーサルみたいなもの・・・でも、まだ週の真ん中、延長はせずにおとなしく部屋を出ていく。夜の街が、エアコンの効いた部屋に閉じこめられていたカラダに、やさしい風を吹きかける。二人にとって2時間は、やはり短すぎる。「近いうちにまた!」と、地下鉄の入り口で別れたけど・・・そろそろ“徹カラ”の時期かもしれないな。