Winding road 5(完)

トンネルを抜けて、また“飽きるほど”続くカーブにdukeと戯れていると・・・クルマの間に挟まって、BMWの1200GSが見えた。ちょうどブラインドコーナーを立ち上がってきたところで、こちらに視線が渡るとすぐに、左腕をすっと伸ばして、大きく振りかざしてみせる。今どき“ピースサイン”を出してくるなんて・・・同世代の予感に、左手をグリップから離し、スモークシールドの上にかざして小さく応える。そう言えば・・・「最後はビーエムだなー。いつかGSに乗って、のんびり旅がしたい」って、muraが笑って話していたっけ・・・。ふと思い出した台詞は結局叶わなかったけど、送り盆を過ぎてもう“帰って”いるはずなのに、“ちょっかい”出してくるんだから・・・きっと空の上で、重たい灰色をブイブイ言わせてるんだろう。「だいぶ変わったけど、どうだい?」と、バックミラーに向かって独り言つ。この県道は、ヤツのお気に入りだった・・・。

国道122号線まで降りてくると、雲がきれいに取れて空が青かった。少し西に傾いた太陽は、それでも強烈な陽射しを遠慮無しにぶつけてくる。ここからテレビでおなじみの館林を通って帰る道を思うと、どうにも息苦しい。クルマの後ろに着いたdukeが、それまで忘れていたラジエターファンを、いきなり回し始めた。