Little Caesar

でたらめな気圧が、空にでっかく夏を描いている。吹けば烈風、降れば豪雨。太陽は、まだまだ元気に街を照らし続けて、歩いていれば肌が少し汗ばんでくる。

昨夜、SOL22用のmicroSDカードが届いて、その中にkissのCDをごっそり放り込んだ。32GB、一生もののディスコグラフィーが入ってもまだ余裕たっぷりな記憶容量。それでもSOL22が“許容”する64GBの半分だから・・・動画を持たないワタシには、これ以上の記憶媒体は必要ない。

1作目の『KISS』から最新作の『MONSTER』まで、しっかり呑み込んだSOL22。今日のお供は『Hot In The Shade』。kissがメイクを落としていた時期のアルバムだ。ちょうど日本での露出も少なくなって、人気も翳りを見せていたとき。ライブでもほとんど耳にした記憶のない曲が鮮やかにながれていく。曲は“Betrayed”。ジーン・シモンズらしいタイトルは、わりと透きとおった音がテンポよく伸びていく、ご機嫌なナンバーだ。最後のBetrayed~♪と、太くて音階を突き抜けたシャウトは、ジーンならでは。シビレる。この時期の曲は馴染みが薄いけど、旋律が疾駆していく感じが、文句なしにカッコイイ。そしてピーター・クリスにも、エリック・シンガーにも悪いんだけど・・・エリック・カーのドラミングとバックコーラスが最高だ。ワタシの中のベストメンバーは、ジーン、ポール、エースに、エリックを加えた第二期のkiss。キツネのメイクアップに小さなカラダで、巧みにツーバスを操るエリック・カーのblack diamondは、でももう観られない・・・。

Little Caesar――『Hot In The Shade』に収められたナンバーは、“小さな英雄”エリック・カー、最初で最後の作品になった。