7月最後の日曜日は 2

<7/29の続き>

5時15分。夜行バスはきっちりと定刻どおりに到着して、薄く雲の張られた空の下、ねぼけた名古屋の駅前にあっさり放り出される。しかたなく細く開いた瞳に映るファミレスの黄色い看板に向かって、線路と平行に延びた大通りを渡っていく。ワタシはベーコンエッグトーストにコーヒーの組み合わせ、ベーコンと目玉焼きに味のり、納豆、ご飯に味噌汁・・・和食党のryoとは、同じメニューを頼むことが少ない。いつも以上にゆっくりとコーヒーをすすり、いつもの倍くらいは時間をかけて咀嚼しても、驚くほど時間がたつのは遅い。二人ともすべて平らげて、3杯目のコーヒーに口を付けて、左腕に巻かれたG-Shockを何度確かめてみても・・・まだ6時を回ったばかり。予定している「快速みえ」には、あと2時間近くある。カップを持ち上げ、右手をゆっくり揺らすと、半分ほど入った褐色の液体が、くるくると渦を巻き始めた。

そこから30分、バッテリーの残量を気にしながらスマホで経路を検索して、7時4分発の普通列車に乗って先に進むことに決めた。途中、四日市伊勢鉄道に乗り換えて、鈴鹿サーキット稲生駅には8時13分の到着予定。1時間9分は、快速よりもだいぶ時間がかかるけど、もう我慢できそうにない。ひさしぶりに「券売機」で切符を買って、12番線のホームへと階段を上がっていく。2人掛けのシートが2列に並んでいる様は、さっきまでの夜行バスを思い出させる。始発駅に停まった電車の中は、思いの外にぎわっていた。マックの紙袋とアイスコーヒーのコップを窓際に置いて、ゴスロリ風の女の子がひとり、うなだれてまぶたを閉じている。化粧もすっかり剥げて、これから二人が向かう“ところ”とは別の世界に住んでいそうな彼女が、ナゼか気になってしかたがなかった。

<つづく>