片道100kmの贅沢 1

台風がじわじわ近づいてくる三連休。予報は、初日の土曜日だけが、何とか行楽日和。それでも「お守りに折りたたみ傘を持って出掛けてほしい」と言うくらいだから、落ち着かない一日になりそうだ。せっかくの晴れ間、新しくなったMX408に行ってみたかったのに・・・昨夜、“やぼ用”を入れてしまったryoの黒い瞳を見ていたら、とても置いていく気になれなかった・・・。しかたなくガレージに入って、日曜日の準備。ずっと外れていたKX85Ⅱのシートを、きれいなエアエレメントを隠すようにかぶせて、ボルト2本で留める。同じようにCRF150RⅡのシートも取り付けて、前後4本分の空気圧を調整して、KXから先にBongoへ積み込む。その隣にCRFを載せて、これで準備万端。モトクロスウェア以外、ガレージにしまわれていたものを、どんどん運び出して・・・最後に、鮮やかな橙色のマシンを引っ張り出した。

オドメーターは500kmを越え、もうすぐ600km。慣らしもようやく“折り返し”だ。こちらも「早いとこ、片づけておかないと」・・・というわけで、今日の晴れはdukeにくれてやる。“苦行”が半分終わって、だいぶいい加減になった右手は、インジケーターが赤く光るまで4ストシングルエンジンを引っ張り、左手と左足が、その合間にシフトアップを繰り返す。なめらかに表示される回転数にとがらせていた神経は、いつしか中央で大きく映る速度表示に移されていた。路肩に並ぶ速度表示板、赤い丸で囲まれた2ケタの数字と、デジタルメーターの中でうごめく数字が、あまりかけ離れていかないように用心して走る。とくに“40”と書かれているあいだは厄介だ。“赤色灯”のお世話にならないように、バックミラーと左前方の路側帯と視線を這わせて・・・公道を走るのも、そう楽じゃない。

<つづく>