片道100kmの贅沢 2

<9/14の続き>

それだけじゃない。脇から“ズン”と鼻先を出してくるクルマにも驚かないように、右に左に点在するカーブミラーをいつも見てなきゃいけない。もちろん、目の前には信号だってある。“一方通行”のモトクロスコースになじんだカラダは、自分の右側を“倍”の速度で突っ走ってくる“対向車”というやつにも、気をつけなきゃいけないし・・・あっちにこっちに気が散って、落ち着いて走っていられない。おまけに今日は、どんどん厚くなっていく雲まで気になって、ついつい視線も上を向いてしまう。灰色が重なりあうようにして、どんよりと濃くなる空模様・・・雨を落とすのは、きまってこういう空だ。走り出すのが遅かったことに後悔しながら、渡良瀬川を渡って北に上がるか、渡らずに西へ向かうか――国道354号線の赤信号で止まるdukeの上で、空を見上げ、迷っていた。

<つづく>