やばっ! 2

このところずっと、いつもiguchi師匠に持っていかれている。先週だって、ふた月ぶりに“手合わせ”したと思ったら、結局逃げ切られて終わってしまった。キャメルとキャメルの間にバックストレートと、多少詰め寄れるところはあっても、その背中は、まだ少し遠い・・・。昨日の土曜日は、その師匠の居ないMX408で何とやら。“直線番長”らしくチカラのある走りができるように、キャブの針を細くしたりメインジェットを大きくしたり、とにかく濃い目に振ってコースへ出ていく。エンジンの力強さを確かめるはずだったのに・・・ひとたび走りはじめたら、無我夢中。長い二本の直線と高く放り上げられるジャンプに、我を忘れる。気がつけば、はたして混合気は濃いのか薄いのか・・・何もわからないまま、ただ20分を走り切ってパドックに帰ってくる始末。これじゃあ、いつまで経っても、師匠のCRF150RⅡに追いつけるわけがない。hiraki“#2”さんの笑顔に救われながら、何とか最後の20分から戻ってきて、埃でかさついた喉にスポーツドリンクを垂らしてから、すぐさま10分の“スタート練習”に挑む。ひと皮むけた固い路面にリヤタイヤが掃われ、フロントタイヤを流れたリヤタイヤと同じ向きに当てて前を向く。ギヤを3速まで上げて、ヒートでたった一度しか使われない第1コーナーへ。右に折り返し、キャメルジャンプの斜面にフロントタイヤを真っ直ぐに合わせて、右手でスロットルを開く。2スト85ccエンジンが、一瞬、息をついて、斜面の真ん中で“とん挫”しそうになる。ふっと、ニセmanabuの言葉が聴こえてきた。

<つづく>