やばっ! 3

<10/2の続き>

「明日、森に行くんだけど」

最後の20分を途中で“棄権”したニセmanabuが、人懐っこい笑顔を寄せてきた。ひととき細くなった上半身は、すっかり元どおりになっている。3クラス分けの今日は、ミニモトの前にフルサイズが2クラス、竹の次に松の順で走っていた。ワタシがKX85Ⅱで走り出すのは、だから、さらに20分後になる。

「ええっ、明日ぁ!? 何だよ、もっと早く言ってくれれば・・・ryoも居るし、一緒に行ったのに」

端っから競う相手の居ない土曜のMX408、モトパーク森に行くのがわかっていたら、来週までお預けにできたのに・・・。だらりと握力の抜けてしまった右手を握ったり開いたり、誘いに応えるように繰り返しても、片道170kmの先にある”第2の”ホームコースは、とてもとても遠くに感じられた。

――ryoに訊けば、きっと二つ返事だろう。行きも帰りも奴に運転させれば、少しはまともに走れるかな?中途半端な加速で斜面を乗り越えていくKXの上で、「明日、森に行くんだけど」と、鈍い声がこだまする。

<つづく>