やばっ! 7

テキトーに過ごした昼休みが終わって、ryoと二人、“追いかけっこ”のつづきを始める。まともにコースを走るマシンは5台。ミニモトはKXとCRFの二台だけで、自然と絡むのも仕方がないけど・・・“分”が悪いのは、ずっとそのままだ。前に出せばジリジリ離れていくし、後ろに置けば、爆音をちらつかせてにじり寄る・・・。

「途中で“二度開け”しても平気!」な4スト150は、上り坂はもちろん、下り坂でも“逃げ足”が速い。ブレーキングで穴ぼこだらけの湿った坂は、平らな路面を選んで落ちていく。雑な効き味のフロントブレーキなのに、勢いを殺さず、真下にある左コーナーまで一気に下る――CRFに倣って路面の左端、ランプがちらりとのぞく森のたもとにKXを寄せてみると・・・思いっきり揺さぶられていたアタマが、びたっと落ち着いた。大したもんだ。

最後の斜面だけは飛び跳ねるようにして明るいコーナーに出ると、テーブルトップの斜面に向かって右手をひねる。前を行くCRFが速度を落とし、ryoが左手で合図する。テーブルの上で入れ替わり、“ウサギ”になったKXが、坂を駆け上がる。狂ったような高音を辺りにまき散らしながら・・・。

<つづく>