You want the BEST. 5

“名物”と同じ、反り返った斜面の奥で、saitoさんのチェッカーがゆれている。えぐれたワダチをよけながら、その斜面の描く弧をゆっくりとなぞり、フィニッシュジャンプの後半を静かに下りて、パドックに戻る。青いYZ85は、もうセンタースタンドの上にあって、その横でnagashimaパパが、白いタオルを手に汗を拭っていた。途中で行き会わなかったから・・・20分の間、休むことなく周回していたのだろう。ジャンプの数が増えて、大人のミニモトにはずいぶんキツいコースになったはずなのに――片目をつむったその笑顔は、まるで変わらない。一本目から肩で大きく息をつくワタシとは大違いだ。まったく恐れ入る。火照ったカラダを引き剥がして、足下にあった三角スタンドをフレームの穴に当てがっていると、後ろからにぎやかな排気音を響かせて、CRFが帰ってきた。サイドスタンドをかませるのももどかしそうに、ゴーグルを外すryo。ヘルメットの奥、バイザーで陰った瞳の周りが真っ赤にふくれていた。

<つづく>