鮫川で過ごす日曜日。

「いやぁ、走った走った。いつ来ても、笑って帰れるのがココのいいところ」

握力の抜けた右腕をストレッチしながら、西日に向かってハンドルを切るryoに笑いかける。途中の細い道を思い、緊張した横顔のまま、「いつもだけど・・・2000円分は走ったよね!」と、その頬がゆれた。

程よい加減の緊張感と、FMXライダーが作りだす異空間。そして、ひたすらスロットルを開け続けるスロープ。アタマの中までスカッと吹っ飛んでいってしまうような風と、視界の隅ですばやく後ろへと流れる緑。そして、暗がりの中でカギのようにねじれ上っていく褐色。

走るのが楽しくてしかたがなかったアノ頃、公道で何度も、時に甲州街道の大きな交差点でRZ250を転がしても、笑って家路についていたアノ頃。高速道路でエンジンを焼き付けて、2km先のパーキングまで路肩を押して歩いたアノ頃・・・。

山砂の喰いつきに助けられながら、ビッグテーブルトップを跳び上がり、巨大なバンクを切り返す。急な下り坂に暴れだすフロントタイヤでさえ、楽しい記憶のフラッシュバック。右腕を使い過ぎて、パンパンにはれ上がったりしなければ・・・どこまででも、ずっと走っていられそうなココは、バイクに乗る楽しさを思い出させてくれる。