『サムシングブルー』という題の本を読んでいるせいか、晩秋の高気圧のせいか、とにかく青がよく目につく。夜には雲に覆われるはずの空は、今朝も青く澄みきっている。枠いっぱいに広がる青、都会を抜ける沿線では、こうはいかない。すでに足下から温風が吹き出していて、活字を追う瞳に、今にも瞼が落ちてきそうだ。北春日部の駅で後発の急行をやり過ごし、いつもの準急が春日部駅に入っていく。空いていた座席がすべて埋まり、建物の数も背丈も増えて、青の幅が少し狭くなった。ビルが走り出した電車と逆方向へと流れはじめ、遠くにロビンソン百貨店だった白い影がのぞく。今は西武百貨店に“衣替え”、白地に赤い文字だった屋根の看板も、青字に白いSEIBUの文字に変わっている。春日部らしい“デパート”だったロビンソン、その真っ青な看板に春日部を感じられるようになるまで・・・まだしばらくかかりそうだ。