塩梅

雨上がりの、暖かい青い空。初冬の太陽が、空の高くへ、精いっぱい上っている。さえぎるもののない東南の方角には、薄黄色の光が散らばって、見上げるだけでクラクラする。ちょっとした坂道を降りて、畑の角を左に折れれば、今度は陽射しが肩にぶつかる。正面から吹く風は、その中に北の冷たさを携えているけど・・・遅めの朝には、それが気持ちいい。シロとネロに両腕引っぱられて、もう少し大きく吹いてくれてもいいくらいだ。しばらく風に向かって歩き、次の角でもう一度左に折れる――その際になって、前から自転車で走ってきたおばあちゃんに声をかけられた、「いい塩梅だねぇ」と。まったくそのとおり、「はい!」とはっきり答えると、しわくちゃな笑顔を残して、ゆっくり後ろに去っていった。道端の黄色い野菊が、蒼い花の香りを風にのせる。小春日和に、かかる雲なし――いよいよホームコースへ戻るんだから・・・明日もいい“塩梅”でありますように!