このままじゃ・・・ヤラれる! 4

クラス分けになった10時、当たり前のようにミニモトのAクラスから、走行が始まった。膨れ上がった右腕を、エルボーガードがギュッと締めつけている。その腕をかばいながら、冷たくなりかけた2スト85ccエンジンに火を入れる。今度も二人に先を越され、その二台を追いかけてコースイン。kidsの連中をのぞけば、コースの中を走るのは知った顔ばかり。一周回ってホームストレートで一緒になったのは、ryoでもiguchi師匠でも、nagasimaパパでもなく・・・赤いボディに白いリヤフェンダー、okano師匠だった。スターティングゲートの前から、フィニッシュジャンプを跳び上がったKXに合わせるように、新型のCRF150RⅡが走り出した。

さりままもぱぱも、見ている「守谷RT」の全員が、スネークヒルの下り坂で声を嗄らさんばかりに大騒ぎ――MCFAJの最終戦、最後までトップ争いをしてみせた師匠に、チームメイトは拍手喝さい。「あんまり騒ぐんで、走ってるこっちが恥ずかしかった」と嘯く師匠。そのときの勢いそのままに、まっすぐに絡んできては、前をひた走る。インを外さないこだわりは、今年も健在だ。むしろ、ここ最近では一番乗れている気がするから・・・こちらも焦ってスロットルを深く回して、マシンが大きくが揺さぶられる。おまけに、フラれた場所がよくなかった。テーブルトップを降りて、車体が右に傾げる。瞳の中、目の前のフープスが斜めに映った。

<つづく>